夏の終わりに線香花火

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『夏の終わりに線香花火』

で何かしら書こう。のやーつの2つ書いた内の1つです。


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パチ、パチ、パチパチ


まばらな拍手。


もういいや。



特に何かあったわけでも


特にこれといった理由があるわけでもない


ただただ


もういいや。


そうなっただけ。



批評家気取りのご機嫌とり


ヘコヘコヘコヘコ


毎日毎日毎日毎日


同じ作業の繰り返し



好きだった事も


好きでありたいから


好きだったはずだから


好きな瞬間がきっと来るから



続けることに必死になって


そこに居るためにしがみついて


何が好きなのかもわからなくなって


何をしているのかもわからなくなって


それでも続けてきた。




だって




ここまで来たのだから。


ここまで来たのに


もう戻るなんてできない。


違う所なんか見えないし、行かない。




だから




一生懸命走っていた。



真面目に


そう真面目に。


ただひたすらに愚直に。


それが正とされる世の中だから。


正しいことが正解だから。


正しく真っ直ぐに進めば間違えない。


負けることも誤ることも


邪念なんかわかないし、奇人変人に見られるわけなんてない。


従属も副作用で異常な事が起きる事もなく


順調に順風に清く正しく清廉に


努力は裏切らない。



足らないから、できない。


足りないから、やれない。


走れてない。


もっと早く


もっと足を動かせ


そしたら結果が必ず



報われる。



ハッピーエンド


どの世界も


どの物語も


そうだったから。



あの人はすごいから


すごいから肩書きがある。


すごいからキャリアがある。


すごいから言う事は正しい。


それを信じて進めば間違いが無い。



躓くのは


転けてしまうのは




全て自分が悪い。




そう思ってた。




けど




もう止まってもいいよね。



でも


走り過ぎて止まり方を忘れてしまった。


止まれない。


止まらない。



頑張れ


頑張れ自分。



正しさを正しくあれば


努力は必ず報われるから


諦めるな。




パチ、パチ、パチパチ


まばらな拍手。



まただ。



もっと盛り上がって欲しかった。


もっと笑って欲しい。


もっと楽しんで欲しい。


もっと、もっと、もっと。




何してんだろ。




ああ。



そうか。



そういうことか。



止まれないなら止まらないなら


進み続けよう。


そして自分の全てをぶつけよう。


それでいい。


それが正解だ。


いつだって正しく正しい選択をしてきた。



さぁ、行こう。



打ち上げるほどのものでもない


狭い世界の小さな小さな自分なりの抵抗


精一杯、最大限を出し切るために


1歩、


1歩、


前へ。




私は


夏の終わりに線香花火を


散らしてみせた




どでかぬれの台本置き場

サクッと短め台本多めです。

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