【3:1】たった一瞬で世界は変わる【20分~】

《ジャンル》

日常系 サイコ?


《あらすじ》

部活動に力を入れ実力主義を掲げる巡山(めぐりやま)商業高校。電卓部も例にもれず毎年ベスト8以上の記録を残している。そして今年の全国大会のメンバーが発表されたのだが…。

その電卓部で何かかが起ころうとしている…?

※事故防止のため、一応R15指定とします。

※作者は電卓部や、珠算電卓競技会、簿記電卓競技会等の知識はあやふやです。その辺りは、あ、こいつ知らねーんだ、ぷぷぷとでも思っておいてくださいましぃ


《登場人物》

【加藤】男性

3年。電卓部。加藤佳明(よしあき) 

学校記録を塗り替える程の実力の持ち主であり、性格も温厚で優しく周りへの配慮もできる生徒。また弟達が幼く早めに帰宅する事が多い。

『』はコメント欄なので某掲示板風な雰囲気でいろんな人がいるかのように読んでもらえるとそれっぽくなるかもです。

【杉浦】女性

3年。電卓部。副部長。杉浦彩美(あやみ)

 友だち思いで純粋な心の持ち主。加藤、木下の3人で全国に行きたいと思っている。

また努力している人の力になってあげたいと思う人。

【木下】男性 前半多め後半少な目

3年。電卓部。木下鉄平(てっぺい) 加藤とは同じ中学だった。仲良くなったのは高校に入ってから。

後半に出てくる『』は他の教師としてのセリフとしてお願いします。(教師A)のように表記してあります。

【竹内】男性 前半少な目後半多め

山商業高校電卓部の顧問。竹内和紀(かずのり)

 実力主義の巡山の校風を守るかのような厳しさを持つ教師。だがなぜか加藤を選ぶことはしない。教師一筋でここまできた彼にとっての厳しいとは。それはただの…。

『』はコメント欄なので某掲示板風な雰囲気でいろんな人風で読んでもらえるとそれっぽくなるかもです。


《セリフ量》

杉浦>竹内≧加藤>木下


ーーーーーーー



加藤:(N)---たった一瞬で世界は変わる。

加藤:どんなに上手くできても

加藤:どんなに努力を積み重ねても


加藤:大きな力の前では無に等しい---





竹内:大石、木下、杉浦、野田、松山…

竹内:以上が全国のメンバーだ。各自に練習に励めよ。解散!





杉浦:やっぱおかしいよ!


木下:ああ、俺もおかしいと思う


加藤:何が?


木下:お前が入ってないことだよ!


杉浦:うんうん、加藤くんが選ばれない意味がわかんないよ!


加藤:うーん、きっと先生なりの考えがあるんじゃないかな


木下:考えなんてあんのかぁ?普通、学校記録塗り替えたやつを選ばないとかないだろ


杉浦:…私、抗議してくる


加藤:はい?


木下:す、杉浦が行くなら俺も行くぞ!


加藤:ちょ、ちょっと落ち着きなよ2人とも!


杉浦:嫌だよ、皆で最速出そうって約束したじゃん!


木下:そうだぞ!お前が居なくてどうすんだ!


加藤:待って待って


杉浦:待てないよ!


加藤:仮に僕が選手になったら誰かが降りることになるんだよ?


杉浦:うっ…それはそうだけど


加藤:そんなことになるの、僕は嫌だな


木下:お前、それでいいのかよ


加藤:僕は大丈夫だよ


杉浦:でも…!


加藤:それに見てよ!このテックトックの再生数!


木下:へ?


杉浦:え、加藤くんテックトックやってたの!?


加藤:うん、ちょっと前から


木下:おいおい、…231kって、、


杉浦:えっと、いち、じゅう、ひゃく…23万再生!?


木下:まじかよ!

木下:ってこれも同じくらい行ってるじゃねえか!?


加藤:あはは…なんかよくわかんないけど、バズるっていうんだっけ。気付いたらこんな感じになっちゃってた


木下:電卓叩いてるだけの動画でこんなに行くのやばいだろ!俺もやろっかな


杉浦:あ、バズった最初の見つけたかも…


木下:お!


杉浦:…え?


木下:どうした?


杉浦:これ…日本記録超えてる


木下:は?


杉浦:か、加藤くん、嘘でしょ、これ


木下:あれって確か物理的にも人間の限界とか言われてなかったか…?


加藤:へー、そうだったんだ


杉浦:そうだったんだ、て…


木下:…ん?あれ?お前、このアカウント、本名じゃね、いや、本名じゃねーか!


杉浦:ええ!?


加藤:?だって名前書くとこでしょ?


木下:はぁ…あのなぁ、ネットリテラシーうんぬんの授業でもあったろ


杉浦:ふふっ、加藤くん、たまに天然だよね


木下:天然ってレベルじゃねぇだろ、これは


加藤:ま、特に問題も起きてないし、大丈夫だよ


杉浦:加藤くんが大丈夫って言うならいいけど


加藤:うん、大丈夫大丈夫!もーまんたい!

加藤:んぁ、そろそろ帰らないと


木下:お、そうか


杉浦:え?もう帰るの!?もうちょっとやっていかないの?


木下:杉浦、こいつん家、まだちびっ子が多いんだよ


加藤:うん、なかなか目が離せなくて


杉浦:そうだったんだ…


加藤:そんなに大変なわけじゃないから気にしないで!


木下:まぁ、無理すんなよ


加藤:はいはい。じゃ帰るよ、2人とも頑張って!


木下:あいよ!じゃあな


杉浦:うん、またね!





竹内:これで今日は終了だ。寄り道せず帰れよー


全員:「「「お疲れ様でしたー」」」


全員:(揃ってなくても大丈夫です。モブやガヤ感で)


木下:くぁー、終わったー


杉浦:後半重りがキツすぎたよー


木下:す、杉浦、その、よかったら、一緒に帰らね?


杉浦:何言ってんの?いつも一緒じゃん


木下:そ、それもそうだな、ははっ


杉浦:早く行こ、暗くなっちゃう


木下:お、おう!




木下:にしても、竹内の野郎、なんで加藤を選ばねぇんだよ


杉浦:絶対わざとだよね、予選の時もだし


木下:気に障るような事でもしたのか、あいつ


杉浦:うーん…


木下:成績もいいし、運動もそこそこできて性格も良いやつなのによ


杉浦:あ…


木下:ん?


杉浦:もしかすると


木下:もしかすると?


杉浦:うちの学校記録、前の人ってさ、たしか


木下:…なるほどな


杉浦:でもいい大人がそんな事で選ばないとか、する?


木下:実際、してんじゃねぇか


杉浦:はぁ…加藤くんが居たら全国優勝も夢じゃないのに


木下:そうだよな。ほんとありえないよな。


杉浦:うん。


木下:あ、あのさ、話は変わるけど、この近くに最近クレープ屋さんができ


杉浦:あ!


木下:たんだけど…えっと、どうした?


杉浦:これ見て!


木下:加藤のテックトックだな


杉浦:そうだけど、そうじゃなくて腕!


木下:あー、制服だなこれ


杉浦:ボタンが映っちゃってるの!


木下:ッ!!


杉浦:どうしよ、特定されちゃうよ


木下:いやでもそれだけじゃ、難しいだ


杉浦:ほら!


木下:ろ…?


杉浦:このコメント!!


竹内:『巡山商業の制服じゃね?これ』


木下:うわ、まじか


杉浦:どうしよう、まだ続いてるよ


加藤:『あそこならこのレベルもわかるな』


竹内:『でも予選の出場選手に加藤なんてやついなかったぞ』


加藤:『じゃあ、あそこは、これが普通レベルってこと!?』


竹内:『いや今年は予選ギリギリ通過だったと思うけど』


加藤:『どういうことだ?名前は適当で制服持ってるOBってことか?』


竹内:『俺TUEEEEEEしたいだけのやつか』


加藤:『草』


竹内:『社会不適合者のヒキニート君の承認欲求きもきもやな』


加藤:『おまいうwww』


竹内:『編集でいくらでもできるし、こいつよりはマシだろ』


杉浦:なに…これ


木下:ムカつくな


杉浦:加藤くん、お家の事もやって練習もして真面目に頑張ってるのに!


木下:インターネットの怖いとこだよな


杉浦:選手に選ばれなくても自分より他人の事を気遣ってくれるのに!みんな好き勝手言って!!


木下:お、落ち着けって杉浦


杉浦:うがーー!!このこの!!


木下:おまっ


杉浦:『この人は本当にいる部員です!』


竹内:『お?自演か?』


加藤:『やめてやれよ、ここにしか居場所が無いんだから』


杉浦:『違います!本当にいるんです!顧問が選手に選ばないんです』


竹内:『おいおい巡山に限ってそれはないだろ』


加藤:『必死すぎワロタ』


杉浦:『彼は本当に頑張ってるんです…。弟達だってまだ小さいのに面倒見てて、そんな中でも努力して』


木下:おい!何勝手に個人の事書いてんだ


杉浦:あ…!


竹内:『ん?加藤で小さい子どもがいるって、まさか加藤佳恵の息子か?』


加藤:『誰だよそれww』


竹内:『あれだよ、4歳だか5歳の子を車で撥ねたババアいただろ』


加藤:『あー、いたな』


竹内:『たしか、あの辺じゃなかったか?』


加藤:『じゃあなに、その息子がこんなことやってるの?』


竹内:『いてぇwww』


杉浦:な、なんで…?どういうことなの、知ってる?木下くん?


木下:いや、知らない、親父は元々居なくて、お母さんは出稼ぎだか単身赴任みたいな感じでって聞いてたけど


杉浦:そんな…


木下:あいつ、、、






加藤:(N)---そう。たった一瞬。


竹内:たった一瞬で世界は変わる。


加藤:どんなに上手くできても

加藤:どんなに努力を積み重ねても


竹内:大きな力の前では無に等しい---




杉浦:先生!


竹内:杉浦か、どうした


杉浦:なんで加藤くんをメンバーに入れないんですか!


竹内:はぁ、その事か


杉浦:はぁって、なんですか!


竹内:もう決まった事だ


杉浦:でも!


竹内:でもじゃない!私がそう決めたんだ!!


杉浦:ッ!わかり、ました




竹内:(俺だって、選べるなら、、選びたいさ)





木下:っかはぁー、やっぱ速いよ、お前


加藤:そうかな?


杉浦:うん、やっぱり加藤くんすごいよ

杉浦:どうしたらそんな風にできるの?


加藤:うーん、暇な時に指の体操とかしてるかも


木下:指の体操?


加藤:そう、これ


杉浦:え、どうやるの?それ


加藤:パーにして


木下:こうか?


加藤:うん、そしたら、人差し指と中指、薬指と小指をそれぞれくっつけて開いたり閉じたり…


木下:こ、これ意外と難しいぞ…!


杉浦:で、できないんだけど…


加藤:ここをこうして、こうしたらほら


杉浦:うっ、でも…動かそうとすると開いちゃうよ


加藤:そしたら握ってて上げるから、やってみて、感覚を掴めるかもだし


杉浦:う、うん、ありが、と


加藤:そうそう、いい感じ!


木下:…な、なな


加藤:ん?どうしたの?


木下:なんか近くねぇかなー2人ともさぁ!!


加藤:?


杉浦:そ、そうかなー、えへへ


木下:んがががぁあああ…もうひと勝負だ加藤ぅおお!!


加藤:よくわかんないけど、いいよ


杉浦:ふふっ、がんばれー





SE:(ノック音)


竹内:どうぞー


杉浦:失礼します


竹内:杉浦か、何回来ても変わらないぞ


杉浦:それでも来ます


竹内:(あれ以来、杉浦は何度も顧問室を訪れるようになった。結果は変わらないというのに)


杉浦:加藤くんを…


竹内:だめだ。なんでそこまでするんだ


杉浦:…私は、副部長として部のためになることを


竹内:そうか


杉浦:というのは、正直、建前なんです


竹内:ん?


杉浦:その、なんていうか…あぁ、ちょっと恥ずかしいんですけど


竹内:はぁ…あいつと付き合ってるのか?


杉浦:違います!!


竹内:違うのか


杉浦:はい


竹内:じゃあ、なんだ


杉浦:えっと、、竹内先生と少しでも一緒にいたくて…


竹内:は?


杉浦:な、なんでもないです!すみません!また来ます!


竹内:(…どういうことだ。そういうのは…まずいだろ)





木下:あーぁ、大会までもうすぐ1ヶ月だっていうのに、加藤の記録超えられねーよ


加藤:でも、着実にペースは上がってるよ


杉浦:うんうん、皆なんだかんだよくなってるよね!


木下:そりゃそうだけどさー


加藤:あ、時間だ、先帰るね


杉浦:うん、わかった!


木下:ん?


加藤:2人とも頑張って!


木下:お、おう!


加藤:ばいばいー!


木下:…なんか、やっぱ、お前ら


杉浦:ほぇ?


木下:い、いや、なんでもない!


杉浦:ふーん、へんなのー


木下:あ、あのさー、今度さ、大会前の激励会的なのしに、2人でカラオケでも行か


杉浦:あ、私もそろそろ時間だ


木下:ない…よねー。うんうん。ってか最近なんだか忙しそうだな


杉浦:えへへ、ちょっとね


木下:なんだよ、バイトでもはじめたのかー?


杉浦:ふふっ、ひみつだよー


木下:ちぇ、まぁとりあえず気をつけろよ


杉浦:ありがとー、じゃあねー





SE:(ノック音)


竹内:どうぞー、って杉浦か


杉浦:お待たせ、先生


竹内:ちょっと待ってろ、これだけ終わらせるから


杉浦:えー、待てないよー


竹内:全く、お前は…


杉浦:ずっと待ってたんだもん、ほら見て


竹内:はぁ、しょうがないやつだな






加藤:うーん、どうしよう


木下:どうした?


加藤:これなんだけど


木下:テックトックか…


木下:んぁ、なんだこりゃ


加藤:なんか僕の事を特定されちゃったみたいでコメ欄が荒れちゃってるんだよ


木下:あー、、本名だしてりゃそうなるわな


加藤:でさ

加藤:『記録を塗り替えられる実力のある生徒を出さないなんてどういうことだ!学校にクレームいれてやるー』

加藤:みたいな書き込みもチラホラ出てきちゃって…


木下:まじか


加藤:うん、さすがにまずいかもなーって


杉浦:いいんじゃないのかな


木下:杉浦、居たのかよ


杉浦:居たよー!


加藤:このままでいいってこと?


杉浦:うん、だってそしたら加藤くんが出場できるでしょ!


木下:おお!それもそうか!


加藤:そういうもんなのかな


杉浦:もしもの事があっても私が側にいてあげるからね!


木下:お、俺もいるぞ!!


加藤:そっか、ありがとう2人とも





木下:(教師A)『竹内先生!また加藤くんについての電話ですよ!』


木下:(教師B)『頼みますよ、竹内先生。今は各部活忙しい時なんだから』


木下:(校長)『竹内先生、この状況がこれ以上続くようでしたら…』



竹内:くそ、なんなんだよ!

竹内:あいつが優秀なのはわかってる!わかってんだよ!!だけど、あいつは


杉浦:先生、大丈夫…?


竹内:彩美か


杉浦:なにかあった、のっ、んっ

彩美ッ


杉浦:ちょ、先生っいきなりっ


竹内:(粗い息遣い)


杉浦:やめっ、まっ、や


竹内:こういうのがいいんだろ?


杉浦:ちが、、やめ、て、んっ、


竹内:こんなにして、なにが違うんだよ


杉浦:それ、は、、その、ちがくて


竹内:うるさい!なにも違わない!俺は間違ってないんだよ!!


杉浦:ぁっ、んんっ、




竹内:すまない、その、少し苛立っていた


杉浦:…大丈夫です。


竹内:なにか飲み物取ってくるな


杉浦:ありがとうございます。


--

杉浦:…っ、ぃたい…痛いよ、ぉ




竹内:(なにをやってるんだ私は。自分のせいで起こってしまった事に腹を立て、あげくそれを生徒にぶつけるなど…)

竹内:…どうすればいいんだよ


加藤:大丈夫ですか?


竹内:誰、…か、加藤⁉


加藤:そんな驚かなくてもいいじゃないですか


竹内:あ、ああ。それもそうだな。どうした、こんな時間まで


加藤:いえ、少し用があっただけです


竹内:そうか、暗くならない内に帰れよ


加藤:わかりました


竹内:では、私は行くからな


加藤:待ってください


竹内:なんだ?


加藤:まだ用が終わってないんですよ


竹内:まさか、大会の事か?それはもう決まったこーーー


加藤:そんな事はどうでもいい


竹内:…どうでもいい?


加藤:ええ、どうでもいいんですよ


竹内:じゃあなんだ


加藤:先生は3年前の事覚えてますよね?


竹内:ッ!!覚えているに決まっているだろう!


加藤:僕も覚えてますよ。鮮明と


竹内:だからなんだというのだ


加藤:母の迎えを待っていたあの日、あなたは娘さんと歩いていた


竹内:そうだ。そして、お前の親が私の可愛い娘の命を奪った!!


加藤:ですが、なぜ正しい証言をしなかったのですか?


竹内:な!?


加藤:あの時、というよりあなたは常にスマホを見ながら歩いてましたよね?


竹内:そ、そんなわけが


加藤:僕はずっと見てましたよ。「あのお父さん、娘さんを見ずにスマホばかり触っているなぁ」と


竹内:言いがかりだ!カメラにも映ってなかったじゃないか


加藤:と思ってるんでしょ?


竹内:なに!?


加藤:事故後あなた娘の所に向かわず周囲を見渡していた、それはなぜか


竹内:くっ


加藤:唯一、捕らえられた筈の映像がなぜか消えていたそうですね


竹内:機材の接触不良だった、らしいな


加藤:もし、その映像があるとしたら?


竹内:ッ!!あるはずがない!


加藤:まぁ、信じる信じないはどっちでもいいんですけどね


竹内:な、なにが言いたいんだ


加藤:僕はね、許せないんですよ。

加藤:自身の責任もあるのに全てを他人に押し付け、自分はのうのうと生きる、そんな人が


竹内:謝ればいいのか?土下座でもしろと?


加藤:口や形だけのものなんていらないんです


竹内:じゃあどうしろと


加藤:これわかります?



竹内:『(粗い息遣い)』


杉浦:『やめっ、』


竹内:なっ、それは…!?


杉浦:『まっ、や』


竹内:『こういうのがいいんだろ?』


加藤:これが実力主義高校教師のヤリ方なんですね


竹内:これは、ち、ちがっ


杉浦:『ちが、、やめ、て、んっ、』


竹内:『こんなにして、なにが違うんだよ』


杉浦:『それ、は、、ぁっ、んんっ、』


加藤:なにが違うんですかね


竹内:くそ、渡せ!


加藤:おっと、まだ、続きがありますよ?


杉浦:『…っ、ぃたいよ…痛いよ、ぉ』


竹内:なっ、そんな…


加藤:ああ…未成年に手を出して涙まで流させる。しかも自分の部活の生徒に。


竹内:いや、私達は!私と彩美はお互い想い合ってーーー


杉浦:いるわけないじゃーん


竹内:彩美!?


杉浦:ふふっうまくできてた?


加藤:ああ、完璧だよ


杉浦:えへへ、褒められたぁ


竹内:ど、どういことだ!


加藤:どういうこともなにも、

加藤:警察や裁判所で嘘の証言を吐き、僕の母に罪を全て押し付け、個人的な私怨で未来ある生徒の出場を取り止め、女子生徒を無理やり襲ったレイプ犯ということですよ


杉浦:こわーい


竹内:お前…!


加藤:そんな態度でいいんですか?もしこれらの映像か世間に知れたら…どうなるんでしょうね


竹内:ぐっ…どうすればいい


加藤:いい?


竹内:…いいですか?


加藤:うん、それでヨシッ!

加藤:そうだな、これからは僕の犬としてしっかり働いてもらえればいいかな


杉浦:わんちゃん!わんちゃん!かわいいねー





木下:よっしゃーー!!ベスト4は確定だ、あとは、加藤!やっちゃってくれ!


杉浦:加藤くん、がんばえ!


加藤:うん、やれる限りやってみるよ


竹内:か、加藤、頼むぞ


加藤:大丈夫ですよ、せんせい






竹内:(N)そう、たった一瞬。


竹内:たった一瞬で世界は変わる。

竹内:どんなに上手くできても

竹内:どんなに努力を積み重ねても


竹内:大きな力の前では無に等しい。



おしまい



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