なにをみていたんだろう【3分~】
《登場人物》
あなた:ご自由にどうぞ。
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思い出話が苦手だった。
何も覚えてないから
行動した結果、言われた言葉
そんなことしか覚えてないから。
疑問だった。
みんな楽しそうに
知り合いのバカげたエピソードを話す。
自分も一緒にいたことなら
たしかに覚えてる。
だけど
どんな動きで
どんな表情で
どんなことを
やっていたかなんて
そんな詳細に記憶にない。
謎だし、わからない。
正直、センスや才能だと思っていた。
あの日までは
「ねぇ、どこ見てるの?」
「私達のこと見てるようで見てないよね?」
衝撃を受けた
その通りだ
上辺だけの言葉を並べる
無難な言葉だけを並べる
ありきたりな言葉を並べる
いつもそうだ、どこを見てたんだ?
なんで、そんな風になってたんだ?
いったいいつからなんだ?
考えてもわからない。
いや
そうか
自分だ。
他人からどう見られるか…
それだけを気にするようになっていたんだ
そうだ
何をしたい、やりたい、とかじゃない
他人からの評価
それが全てだったから。
気づいた時には
そうなっていた。
だから他人を見てるようで
そこに映る、自分を
それを映す、自分が
どう見てどう見られているのかだけを
気にして、考えて考えて考えて
結局
全てを失った。
ただ、それだけの話。
わかったって
無理だった
身体に染み付いてしまっていたから。
平気で口から出る
呼吸するように出る
相手を喜ばせ相手の求める応えを
自分をよくみせるための言葉を
いい人で価値のあるモノだと
認識してもらうために。
そんなものに意味なんてあったのか。
簡単なことのはずなのに
それに気づかなかったなんて
ほんと…
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