5月5日【3分~】
《登場人物》
あなた:ご自由にどうぞ。
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5月5日
毎年特別な日。
お父さんもお母さんもこの日だけは早起きをする。
なんで?と聞くと
『とってもアツい日だからね』
風がビュービュー吹きつけて寒くても
気持ちのいいくらいだったとしても
必ずそう言って
私も一緒に連れて行かれる。
別に嫌だったわけでもなく、むしろ特別な気がして嬉しかった。
大きな看板に外からでも聴こえてくるジャラジャラという音。
出来ている列に並んで順番を待つ。
まずはくじ引きをする。私は引かせてもらえないので見てるだけだけど。
折りたたまれた紙を広げ苦い顔をする2人。
いつも通りだ。
ここで私の出番というわけ。
今回はお父さんの方が前に並べたみたいだから一緒に並ぶ。
そして
お店の人の
『いらっしゃいませ!開店です!』
という大きな声と共に走り出す。
順番なんてあったものじゃない。
大の大人達が怒号を上げながら店内へとなだれ込む。
小さい私はその大きな蠢く木々を避け前へ前へと躍り出る。
するとどうだ、あっという間に先頭組の仲間入り。
目的の列に来たら急いで順番を数える。
もう少し背が高ければ台の上にある番号が見えるんだけど、ちょうど届かない。
55番はもう取られちゃってるから
65番と75番の下皿に持たされたタバコとタバコケースを置いていく。
周りを見回すとお父さんが目に入る。
『よくやったぞ』
満面の笑みを浮かべる姿を見ると私も笑顔になった。
お母さんも来て
『さすが、えらいわね』
その後、自販機で普段は買ってもらえないシュワシュワのジュースを選ばせてくれる。
頑張った後の味は格別で、とても好きだった。
他の子達とは少し違ったのかもしれないけど、私にとっての特別な日。
お父さんお母さん、楽しかったよ、ありがとう。
おかげで
私も立派な大人になれました。
『まだまだ赤ちゃんだろ』
なんて言葉が聴こえてきた気がした。
ふふっ
二人みたいになれるかわかんないけど頑張るね。
だから
お願い。
少しだけでいいから
力を貸して。
これが最後の1枚なんだよ、頼む!
光ってくれ、光らせてくれよぉ!!
特別な日なんだ!
とってもアツい日なんだよね!?
父さん母さんんんん!!
光らせてくれぇぇぇえええ!!!
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